定期テストの答案を見たら、前回より数学が20点下がっていた。本人に聞いても、『授業は分かる』『ケアレスミスが多かった』と言うだけ。学校ワークは提出しているのに、どこから直せばよいのか分からない。
こうしたとき、いま学校で習っている単元を最初からやり直せば解決するとは限りません。数学は前に習った内容を使って次の問題を解く教科です。一次関数で手が止まっていても、実際には比例や方程式の理解まで戻った方が早いことがあります。
この記事では、『数学が苦手』という大きなくくりを、答案やノートから具体的な原因に分け、何をどの順番でやり直すかを整理します。
中学生の数学は、いま習っている単元だけを見ても原因が分からない
『一次関数が苦手だから、一次関数の問題を増やそう』。一見すると正しい対策ですが、それで手が動くのは、必要な計算や方程式が身についている場合です。
例えば、直線の式を求める問題では、グラフの読み取りに加えて、正負の数、文字式、方程式の計算を使います。途中の計算で毎回止まるなら、一次関数の解説を繰り返すより、方程式を短く復習した方が先へ進みやすくなります。
数学の点数が下がったときに知りたいのは、『どの単元が苦手か』だけではありません。最後に一人でできたところと、最初に手が止まったところの境目です。
答案で最初に見る場所
原因1 計算の土台が曖昧なまま、次の単元へ進んでいる
計算問題はある程度解けるのに、式が長くなると間違いが増える。途中式を一行飛ばすと符号が変わる。分数が入ると急に手が止まる。この状態では、新しい考え方を理解しても、答えまで安定してたどり着けません。
特に中学数学では、正負の数、文字式、一次方程式が、その後の連立方程式、関数、図形の計算にも出てきます。『いま中2だから中1の問題はやらない』と区切らず、必要な計算だけ短く戻る方が効率的です。
戻るといっても、前の学年の問題集を一冊やり直す必要はありません。まずは基本問題を5問ほど解き、同じ種類の間違いが続くかを見ます。5問中4問を迷わず解けるなら先へ進み、2問以上で止まるなら、その計算を先に整えます。
原因2 解き方は知っていても、問題を見て選べない
例題のすぐ下にある練習問題は解けるのに、テストでは空欄になることがあります。これは公式を知らないというより、『この問題では何を使うか』を決められていない状態です。
ワークでは同じ型の問題がまとまっているため、見出しがヒントになります。一方、テストでは計算、方程式、関数、図形が混ざります。そこで初めて、問題文から解き方を選ぶ必要が出てきます。
この場合は、同じ問題を何回も写すより、問題文を読んだあとに『何を求めるのか』『分かっている数字は何か』『どの考え方を使うか』を短く言葉にしてから式を立てます。正解した問題でも、解き方を選んだ理由を説明できなければ、少し時間を空けてもう一度解いてみます。
原因3 説明を聞いた直後の『分かった』で終わっている
先生の説明を聞きながらなら、途中の式にも納得できる。ところが翌日、同じ問題を一人で解こうとすると最初の一行が出てこない。数学ではよく起こることです。
説明を理解することと、自分で解き直せることの間には一段あります。解説を閉じ、数字だけが違う問題を最初から解いて、その一段を越えられたか確かめます。
途中で止まったら、すぐに答えを全部見るのではなく、最初の一手だけ確認します。そこから先を自分で続けられれば、分からなかった場所が絞れます。解説を丸ごと読み直すより、次に直す部分も見つけやすくなります。
原因4 分からない問題が、次の授業まで残っている
家で勉強していて一問分からなくなると、そのページの先へ進めなくなる生徒がいます。付箋を貼って別の問題へ進めばよいのですが、『全部終わってからでないと提出できない』と考え、そのままワークを閉じてしまうこともあります。
一週間後の授業で質問すると、その問題に取り組んだときの考え方や迷った場所を忘れています。質問するために、もう一度最初から状況を思い出さなければなりません。
分からない問題は、解けるまで抱え込むより、問題番号に印を付け、途中式を消さずに残します。『ここまでは分かった』『この式から先が分からない』と書ければ十分です。次の勉強を止めないことと、質問できる形にしておくことを分けて考えます。
つまずきやすい単元と、確認したい一つ前の内容
- 一次方程式で止まる:正負の数、文字式、分数の計算
- 連立方程式で止まる:一次方程式、式の整理、代入の意味
- 一次関数で止まる:比例、座標、一次方程式、変化の割合
- 証明で止まる:図の条件整理、合同条件、根拠を言葉にする練習
- 平方根で止まる:素因数分解、正負の数、分数の計算
- 二次方程式で止まる:式の展開、因数分解、平方根
この表は、全員に当てはまる復習表ではありません
立て直しは、難しい問題より『最初の一問』から始める
数学の点数が下がると、問題集を増やしたくなります。しかし、教材が増えるほど『今日はどれをやるか』という判断も増えます。最初の一週間は、新しい教材を買わず、学校のテスト、ワーク、ノートを使えば十分です。
最初に選ぶのは、テストで落とした最も難しい問題ではありません。自力で解けた問題と解けなかった問題の境目にある、基本問題です。そこが解けるようになると、次に進む範囲がはっきりします。
1.テスト、ワーク、ノートを横に並べる
まず、同じ単元のテスト、学校ワーク、授業ノートを並べます。テストだけでは、本番でたまたま起きたミスなのか、普段から続いていたつまずきなのか判断しにくいためです。
ワークでも同じ計算を間違えていれば、そこを復習の出発点にします。ワークでは解けているのにテストだけ空欄なら、時間不足や、問題が混ざったときの見分け方を確認します。ノートを見ながらなら解ける場合は、例を見ずに解く練習が不足している可能性があります。
2.一つ前の単元を5問だけ解く
戻る範囲を決めるために、候補となる単元の基本問題を5問ほど解きます。ここで大切なのは、正解したかだけでなく、途中で教科書や答えを見たか、手が止まったかも含めて見ることです。
5問が安定して解けたら、前の学年を長く復習する必要はありません。現在の単元へ戻ります。間違いが続いたら、その5問と似た問題をもう一度解きます。復習の範囲を広げる前に、戻る場所が合っているかを確かめます。
3.例題を閉じて、もう一度解く
解説を読んだあとは、数字や条件が少し違う問題を、何も見ずに解きます。途中式も自分で書けたら、その考え方は使える状態に近づいています。
答え合わせでは、赤ペンで正しい式を写して終わらせません。最初に違った一行へ印を付け、なぜそうしたのかを確認します。符号だけのミスなら計算練習、式そのものが出なければ考え方の確認というように、次の一問を変えます。
4.解けなかった問題は、止まった場所を残す
分からない問題に長く粘る必要はありませんが、答えだけを写して終わるのも避けたいところです。問題、途中式、止まった行が分かる状態で残し、学校や塾で質問します。
質問するときは、『全部分かりません』より、『ここまではできたが、なぜ次にこの式になるのか分からない』と伝える方が、必要な説明を受けやすくなります。自分で考えた跡が残っていれば、教える側も計算の問題なのか、考え方の問題なのかを判断できます。
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保護者が『教える係』になる必要はありません
保護者が数学を教えようとすると、昔と解き方が違ったり、本人が説明を聞きたがらなかったりして、勉強以外のところでぶつかることがあります。
ご家庭で確認するなら、正しい解き方よりも、『どこまでは自分でできた?』『次はどの問題をやる?』の二つで十分です。答えを教える役と、勉強を始めさせる役を毎日引き受ける必要はありません。
本人が決めた範囲を進められない日が続く、質問する問題がたまり続ける、戻る単元を親子で決めるたびに揉める。そのような状態なら、家庭の外で学習計画と質問対応を任せる選択肢があります。
家庭学習だけで戻るのが難しいのは、こんなときです
- どの単元まで戻るか、本人も保護者も判断できない
- 解説を読むと分かるが、翌日には一人で解けない
- 学校ワークの空欄が多く、質問する問題を選べない
- 学習計画を立てても、何をするか迷って始められない
- 分からない問題があると、その日の数学をすべて止めてしまう
- 親が声をかけるたびに、数学の話で言い合いになる
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まとめ|『数学全部』ではなく、最初に止まった場所から戻る
中学生の数学が苦手になったとき、最初からすべてやり直す必要はありません。答案と途中式を見て、一人でできた最後の問題と、最初に止まった問題の境目を探します。
戻る単元の基本問題を少し解く。解説を閉じてもう一度解く。分からない問題は途中式を残して質問する。この流れができると、『数学が苦手』という曖昧な状態が、次に直せる一問へ変わります。
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